tel_sp.png

2018.05.09更新

平成30年4月25日、名古屋地裁で、妻の虚偽申告を、警察が鵜呑みにした結果として、夫が不当にDV認定を受け、子供に面会できなくなったとして、妻と県に賠償を命じる判決が出されました(共同通信・中日新聞・毎日新聞等引用)。

裁判長は、「DV被害者の支援制度が悪用される事例が社会問題化している」「面会の妨害目的だった恐れがあったのに、警察は事実確認を全くしなかった」と指摘しました。

最近、実務を行っていて、相手に(破綻責任や面会拒絶原因としての)DVがあったと主張し、それを証明する手段として、警察に相談する記録を残したり、保護命令を受けたりする事例が増える傾向が認められ、中には、比較的、実体がない形式的なもの、あるいは証明のための手段に過ぎない、と思慮されるケースも少なくないと感じるようになっていた矢先の判決です(ネットによる知識かあるいは一部の専門家のアドバイスによるものか)。

直近、相談を受けた例で、突然、警察官が自宅に来たという事案を聞くと、警察官は相手方の言い分が正しいという先入観をもって、調査をした形を作るための一方的な行動で、法的にあり得ない判断(理由づけ)を押し付けたと評価されても仕方のない内容も認められました。従来から、裁判官が、法律と先例に基づいて為すべき判断を、十分な法的知識を有していない一部の警察官が、特定の利害関係者であるかのように、事実と法的評価を押し付けて、弱い立場にある個人を追及する事例が認められたことがあります(殆どの場合はそうではありませんが)。

また、DVの証明手段として、精神科医の診断書も多く出される傾向にありますが、精神科医の診断書は、当事者の求めた内容に応じて安易に出されるものという印象が強く、裁判所においても、必ずしも重きを置かれていない印象を受けています(鬱病との診断書が出されていましたが、どう見ても適応障害と認められた事案も存在しました)。

DVの証明は、傷害を受けた診断書、傷害を受けた部位の写真、録音、録画、メール履歴、客観的第三者の証言等の、客観性が担保される証拠(陳述書や、身内の証言等は主観的証拠として、殆ど証拠価値は認められません)によって、地道に為して行くのが正道であり、裁判官に対する説得力があるものです(最後は本人尋問により裁判官が心証を形成します)。

但し、診断書や写真があっても、病院のカルテや、直後の円満に行動している家族写真等によって、DVとは無関係のものであることを証明した例もありますので、虚偽の事実を作ることは正道とは考えられません。正道の積み重ねが、裁判官や世間に対する信用を作り上げるものと考えています。 

 

投稿者: 武末法律特許事務所

オフィシャルサイト離婚BLOG 24時間WEB予約受付中
TEL:092-714-4554 24時間WEB予約受付中