最高裁判所第1小法廷平成24年受第1402号平成26年7月17日判決は、嫡出子の推定を受ける親子関係(母親が婚姻御200日以後婚姻解消後300日以内に出生)の場合、実体(遺伝子的)が存在しないとして親子関係を争うには1年以内に嫡出子否認の訴えの手続きによらなければならず、以後は、客観的に親子関係がないと科学的証明がなされたとしても、親子関係不存在確認の訴えでもって、争うことが出来ないとし、遺伝子的な実体がなくても戸籍上の地位が法的に守られることを認めました。
他方で、従来の最高裁判所は、親子関係の実体がないが戸籍上嫡出子とされている場合(親族間の子を嫡出子として届け出ている場合等)、戸籍の記載は実体に合わなければ法的安定性に欠けるという理由で、子供には相続権がないとかたくなに(地裁、高裁が再度認める判決を出しても)覆し続けていたところ、最高裁判所第2小法廷平成17年受第1708号平成18年7月7日判決は、親子関係の構築が認められれば、その親子関係不存在確認請求を求めることは権利濫用に当たるとして、実体(遺伝子的)が無くても、相続権が保護されるという結果を容認しました。
これらの最高裁判所の判決から見ると、かっては、実体にそわない戸籍上の地位は、法的安定性の目的から、絶対的に保護されないという立場であったところ、近時は、戸籍上の親子関係が実態として構築されている事実があれば、事情によるが、保護すべきという立場で統一されたように思われます。市民感覚から見れば、非常に理解できることになったと思います。