離婚BLOG

tel_sp.png

2021.11.04更新

婚姻費用や養育費の算定の基礎に、双方の収入があります。給与収入者は源泉徴収票や給与明細書により、自営業者は確定申告書等による所得証明により基礎が定められます。

給与収入者でも、不動産収入等の他の収入が存在する場合には、これを収入(所得)の基礎と出来るかという問題があります。

先例を見ると、特有財産から得た収入(アパート経営等)を、基礎としないとするもの(東京高等裁判所昭和57年7月26日決定)と、基礎とするもの(東京高等裁判所昭和42年5月23日決定・

東京高等裁判所平成28年9月14日決定)とがあります。

前者の理由は、同収入が同居中から共同生活の資とされていなかったからとされ、後者はこれを基礎としない理由はない、とされています。

そうすると、その判断が分かれる理由は、その収入が共同生活の資となっていたか否かということになります。

だとすると、その不動産収入が、共有財産であった場合には、どうなるかという問題があります。

それが、経費を上回って高額の所得を得ていた場合には、当然共同生活の資となっていたと判断されることになると思慮されます。

問題は、その所得が経費を上回る高額の場合、生活の資となっていたと判断されるが、その所得が給与収入を加えても赤字とされていた場合、その所得が基礎とされるべきか否かということです。

すなわち、その不動産が、自宅用ではなく、夫が投資の為に行っていたような場合、その不動産収入を経費が上回っていて給与収入よりも低額の所得とされていた場合、

離婚後の夫の資産形成に寄与する目的ということで、家賃収入やそのための経費は、共同生活の資や使途とはなっていたものとはいえないということで、経費削除前の給与収入を算定の基礎とすべきではないかという疑問が残ります。

先例の、積み重ねを待つことになります。

 

 

投稿者: 武末法律事務所

オフィシャルサイト離婚BLOG 24時間WEB予約受付中
TEL:092-714-4554 24時間WEB予約受付中