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2024.02.02更新

婚姻費用の算定の基礎の一つである義務者の収入の認定において、通常は給与所得者であれば最新の源泉徴収票等の収入証明額で、自営業者であれば確定申告書の課税される所得金額に実際には払われていない青色申告控除額等を加算して、定められます。

ここで、特殊な事例を紹介します。

義務者に親から相続した等の固有財産からの賃料や配当が存在すれば、これが収入(所得)に加算されています(大阪高等裁判所平成30年(ラ)第389号婚姻費用分担審判に対する抗告事件平成30年7月12日決定)。

義務者の農業収入において、天候等により年度ごとに収入が一定しないものは過去5年程度の平均収入を基礎にすべきとされています(東京高等裁判所平成8年(ラ)第1447号婚姻費用分担申立却下審判に対する即時抗告事件平成9年7月30日決定)。この先例の応用としては、取締役報酬等が業績によって変動する事実が認められれば、過去5年間の平均で認定ということも考えられます。

義務者が、収入証明を提出せず、収入認定が明確に出来ない場合において、義務者が相応の生活をしている事実を踏まえ、義務者が事前了承していた医科大学に在学中の子の学費や生活費全額を婚姻費用相当額とされた例があります(大阪家庭裁判所昭和41年(家)第4585号婚姻費用分担請求事件昭和41年12月13日審判)。

また、義務者に借金があることは婚姻費用分担額を左右しない(収入から差し引かれない)とされています(東京家庭裁判所平成27年(家)第3845号婚姻費用分担請求事件平成27年6月26日審判)。これは特殊な事例というよりも、時々存在する案件です。

 

投稿者: 武末法律特許事務所

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